寮母二人の困惑した会話を聞きながら、景は唖然としていた
私たちを助けたせいで……
市河くんまでそんな目に合わなくちゃならないなんて……
ライは、そんな動揺を隠せず手を握り締める景をチラリと見てから、橘と高橋に尋ねた
「市河とそのヤナオカってやつの間に大人が入ったって火に油を注ぐだけなのは分かるけど……市河は大丈夫なんだろうな?」
高校生の男子同士の問題に寮母が毎回口を出すことはしないだろうが、やはり柳岡よりも学年が一つ下である市河のことは心配だ
ライが確認するように言うと、橘は分からないと首を振った
「柳岡くんには実は私たちも何度か過度なああいう行動を注意したことはあるの。注意を聞いてくれないわけじゃないけど……私たちでも怖いのよね。
それに、二年六組のヤナオカくんと一年一組のイチカワくんは出席番号的にも寮の部屋が隣接してるから、この先一年半以上、ちょっと辛いかもしれないし……」
橘の言葉に高橋がうんうんと頷いた
景の脳裏に、生徒会室で市河と視線が合った時のことが蘇る
話したことは全然ないけど、私たちを助けてくれて
でも私たちはしっかりお礼なんてできてなくて
そうだよ
助けなきゃ……!!
「私ちょっと行ってくる」
「……!?」
「「えっ」」
景はそう言うと、エントランスの奥にある部屋へと走って行った



