「橘さーん」
「あら景ちゃん久しぶり〜」
「お久しぶりです。あの、1年1組の市河くん、呼び出してもらえませんか」
男子寮Bで乾杯を済ませて少し経った頃
景とライは普通の男子寮を訪ねていた
というのも、お世話になった市河にも食事に参加してもらいたいという話になったからだ
男子寮であるにもかかわらず、自ら迎えに行きたいという景を追いかけるようにライもついてきたわけだが......
ライとしては市河とはそんなに面識が無いわけで、咲夜たちにも来てもらえばよかったか......と心の中で呟いた
景が寮母仲間である男子寮エントランス担当の橘に、市河を呼び出したい旨を伝えると、丁度エントランスの後ろにある部屋(事務室)からもう一人寮母が出てきたところだった
「あ、久しぶり景ちゃん。珍しいね」
「あ、お久しぶりです高橋さん」
だいたい全ての寮母と知り合いである景は、ここでもまた挨拶をかわす
景とライを見た高橋は、カウンターの橘の横へやってきて、二人をふむふむと見比べた
「彼氏?」
「あははっ、違います」
「............」
無言のライを見ながら高橋は「イケメンね〜」と感心し、「で、市河くんだっけ?」と続ける
「はい」
「市河くんならロビーで見たわよ」
「本当?呼んできてもらえませんか!」
景が嬉しそうにそう言うと、高橋は頷いてパタパタと男子寮ロビーの方へ駆けていった
ほんのしばらくして高橋が焦りながらエントランスに戻ると、彼女は困ったように説明した
「なんか市河くん、柳岡くんに責められてるっていうか絡まれてるっていうか」
それ聞いた橘は、えっと驚きの声を上げる
「柳岡くんに!?そりゃまたえらいやつ敵に回したな」
「ヤナオカくんって誰ですか?」
ライも首を傾げ、景が不思議そうに尋ねると、橘は高橋と顔を見合わせた後口を開いた
「2年生の生徒会の子なんだけど......」
......生徒会!!
「ずごい怒ってるみたいだったよ」
「あ、柳岡くんが?」
「そうそう、市河くんの胸ガシッて掴んで」