「ゆいとーー」


誰かが起こしに来ることを想定してか、鍵のかかっていない結斗の部屋の扉をそっと開けながら景は部屋の中に入る


薄暗い部屋の中

結斗はシンプルで清潔感のある部屋のベッドの上でスースーと眠っていた


ベッドにゆるくカーブを描いて散った細い髪

微かに息の漏れるきれいな唇

影を作る長いまつげ


結斗って本当綺麗だなぁ

羨ましい......


景はそんな事を考えながら、ベッドの脇に膝をついた


こうして寝顔を見てしまうと起こすのも少し心苦しいが、夕飯は食べてほしい


景は結斗の肩に手を添えると、彼を軽く揺すってそっと話しかけた


「結斗、ご飯だよ。起きて」

「......ん......」


結斗がびっくりしないよう優しく囁くと、彼の瞼が震え、ゆっくりと開く


しばらく虚ろな目をする彼に、景はやさしく微笑んだ


「ん......」

「おはよ、結斗」

「け......ちゃん?」


目の前にいるのが景だと分かると、結斗は少し驚いたのち、ふわりと微笑えむ


「あれ?......景ちゃんが起こしてくれるなんて......嬉しいな」

「気持ち良く寝てるところ起こしちゃってごめんね」