「とりあえず俺の魔法も長くはもたねぇからな......とっとと生徒会室に殴り込むぞ」

「殴らないで」


ライが彫刻の施された華やかな生徒会室の扉を見上げて言うと、皆は小さく頷いた


「準備は大丈夫?見えない景ちゃん」


結斗がくすりと笑って景に声を掛けると、景の声は小さい声で返事をする


「うん、大丈夫だよ結斗。生徒会室に入ったらすぐ魔法を解いてねライ」

「はいはい」

「......私ね、昨日自分が人狼じゃやなくてシベリアンハスキーだって鈴菜ちゃんに伝えてきたんだ」


その言葉に、生徒会室の扉を見つめたままだったライが視線を声の方へ移した

ライは驚いたような顔をしていたが、しばらくして

「どうだった?」

と、短く尋ねた


「うん、笑って、犬大好きやから今度散歩に連れてったるわ〜って言ってくれたの」

顔は見えないけれど嬉しさを帯びたその声に、四人は笑顔になる

「......よかったね」

「ありがと爽馬。だから、なんか今なら自分に自信を持てる気が......する」


照れたようにえへへと笑う景に、皆が微笑むと、結斗は制服の腕をまくって、前を向いた


「じゃあ皆、いい?怖い?」

「んなわけ」

「別に」

「......別に」

「大丈夫!」


四人の頼もしい声を確認した結斗は、ニヤリと笑ってドアノブに手を掛ける

そしてそのドアノブを回す


ガチャリと音を立てるドアノブ



景は生徒会こてんぱん!と心の中で自分に喝を入れた