「呼び止めてごめんね」


結斗は駆け足で駆け寄ると、景の前で止まる


「ううん?」

「今日のこと、景ちゃんに謝っておきたくて」

「今日のこと?」


結斗、何かしたっけ?

景が不思議そうに首を傾げると、結斗はふふふと笑って、景の頭を撫でた


「俺のせいで、生徒会の人たちに囲まれたりして、怖い思いしたでしょ?」

「あぁ、なんだ。それならぜんっぜん気にしないで!イラッとして全力で走ったら逃げれちゃったし」


全然謝ること無いのに、とドヤ顔で拳を突き出す景に、結斗はくすりと笑う

しかしそんな結斗を見て、一番心境が複雑なのは結斗だよな......と景は手を下ろして結斗を見上げた


「結斗も......」

「うん?」

「う、ううん......」


結斗は景の気持ちが分かったのか、柔らかく微笑むと、景の頬を両手で包み込む


そして、どこか決意を帯びた優しい声で結斗は言った


「明日、生徒会室に行ってくるよ」

「......え?何しに......?」

「ちょっと、暴れてこようかな?」

「あ、あば?」


景はイマイチよくわからないのか、困ったような心配したような顔をする


「咲夜達の話しで、俺を生徒会に入れたい理由が家柄だっていうのも分かったし.......。それに、魔術科役員がやったことで会長側に悪意は無かったとはいえ、景ちゃんにも怖い思いさせたし。俺、結構怒ってるからね」

「は......はあ......?」


結斗が怒ったところを見たことは無い

もしイタズラをしても、結斗の場合笑いながら問い詰めそうだ


「景ちゃんのイタズラなら喜んで受けるよ?仕返しは覚悟してもらうけどね」


「何で思ってること分かるんだろう......」