「やっぱコイツはただのたらしだ、縛りあげろ咲夜」


景に抱きつく結斗を睨みながら命令するライに、咲夜はげっそりしながら「お前ももう諦めろー」と呟いた


爽馬が珍しく苦笑する


結斗はそっと景から離れ、笑顔を作った


「今、本当は伊吹グループの売り上げは少しずつ下がって来てるんだよね......内緒ねこれ」

「そう......なの?」

「そう。ほんの少しずつだけど、まぁ悪くなるのも時間の問題だね」


リアルな会社の事情にどう反応していいやら景が困った顔をすると、結斗はクスリと笑った


「昔ね、まだ日本には妖怪ばかりが蔓延っていた頃、ヴァンパイアは受け入れられず酷い扱いを受けたことが現代にも続いてこんなことになってるんだよ。でもいい加減、そんな古い考え方は捨てて、妖術系統の会社とも手を組んでいかないとこの状況はきっと改善されないんだ」


真剣な顔つきで結斗は言った


そういう、悲しい歴史的背景が今でも続いてるんだね......


「だから俺が会社に入ることになったら、魔術系統だけじゃなくて妖術系統も視野に入れた会社にしてみせる。今まで蔑んできた人達に理解してもらうには時間はかかるかもしれないけど、もうそんな事を言ってるような時代じゃないからね」


「お前......」


咲夜が感心したように呟いた


結斗が、4人の驚いたような顔を見渡す


「なーに?俺がカッコ良く見える?」

「......ふっ、勘違いすんなクソナルシスト」

「素直じゃないよねー」


そんな2人の会話に、寮が笑いに包まれる


結斗は、本気なんだなぁ


景は嬉しいような、結斗が遠い存在になったような気持ちで彼を見た


「じゃー結斗、俺らはそんなお前を、ちゃんと見届けてやるよっ」


「その(妖術系統と魔術系統)タッグが実現すんならさせてみろ」


咲夜とライのかまかけたような言葉に苦笑いしながら、結斗は

「上等じゃん?」


と、立ち上がった