その日の午後

「景ただいまー」

「ただいま」


咲夜と爽馬が男子寮Bに帰ると

景が共同リビングのダイニングテーブルに突っ伏して眠っていた


「ん!?」

「珍しいね」


すーすーと寝息を立てる景

咲夜は珍しい物に近づくように景の元まで行くと、頬を人差し指でツンツンとつついた

「......起きねぇな」

「疲れてるのかな」


そりゃ、毎日頑張って寮母やってりゃ疲れるか


咲夜と爽馬は困ったようにお互いの顔を見る

テーブルで寝るよりは、横になった方が楽だろう

「ちょっと触るぞ、景」


咲夜は景の上半身を起こし椅子を引き、足の裏と背中に手を添えた


そして景の体を軽々と持ち上ると、そのままソファまで行き、そこに寝かせた

景が起きる気配は全くない


「起きたらなんで起こさなかったのか怒られそうだね」

「......この寝顔見たら起こせなくね?」


爽馬は頷くと、そのまま景の寝るソファの前に座る


静かで、景が用意していたと思われるデザートの甘い匂いに包まれた男子寮B


「僕も、少し寝ようかな」

「じゃ、俺も」