「むぐむぐむぐ、なるほどね」


夕飯を頬張りながら、咲夜は後ろにあるソファを振り返った


そこにはスヤスヤと眠る景


さきほど、ライが魔法で寝かせてから
そのまままだ起きない


夕飯も自分たちでダイニングまで運び、食べることにした


「ああ、嫌がってたけどな。体が辛そうだったから無理矢理寝かせた」


咲夜の向かえに座ったライが、目線を右手に持ったスプーンから逸らさずに言う


「やっぱり景ちゃんには能力的に欠如した部分があるってことかな」


結斗の呟きに咲夜が顔を上げる


「むしろ欠如した部分のほうが大きいんじゃね?景って狼男の一族だろ?」


「んー、多分ね」


「あれじゃ狼どころか犬じゃん。しかもあんなちっちゃいシベリアンハスキー見たことあるか?」


咲夜の言葉に

「子犬はあんなサイズなんじゃないの」

と爽馬が肩をすくめた


「産まれて数ヶ月の子犬は、な。しかも変化(へんげ)の後は辛そうだったんだろ。......最近力に目覚めたとか」


咲夜の推測に、ライは食事から視線を逸らさぬまま首をかしげる


「さあ.....でもどっちにしろ、あの未熟な犬の姿じゃ力のコントロールもままならねぇだろ」


「そうだねライ。特に景ちゃんは完全変化型だから」


「完全変化型?」