翌日の昼休みのことだった


校内にある生徒経営の魔法のパン屋「ショパン」のスカスカチョコパンを手に入れ、私は廊下をウキウキと歩く



スカスカチョコパンとは、その名の通り中には何も入っていないスカスカのパンだ


パンを千切る際に、中に熱々のチョコレートが出現する不思議な仕組みになっている、今ショパンで1番人気の商品だ



「すっかすっかちょっこぱん、すっかすっかちょっこぱん」


売り切れていることも多いけれど今日は運良く手に入ったのだ

というわけで、浮かれ度マックスで歩いていたその時



「すっかすっ......」


......!?

いきなり横を歩いていた男子生徒から手首を掴まれ、そのままぐいっと強く引っ張られる

「ぎゃ」


何!?

とっさの出来事に驚きと恐怖でどうすることもできず、私はそのままひと気の少ないところへと引っ張られて行った




「ちょっとなにす......!」


自分の手首をぞんざいに掴む男子生徒に怒ろうとして

私は周りに5人の生徒が立っていることに気がつき言葉を失った


なんかこの感じ......


前に有姫軍団に囲まれた時に似てる......



あの時の恐怖を思い出し、背筋を凍らせながら

恐る恐る口を開いた


「誰......ですか」

「生徒会です」

「......!!」


すぐに帰って来た質問の答えに、私は目を大きく開く



こんな乱暴なことする人たちが......

生徒会!?




「あなたに話があります」

5人のうちの1人、女子生徒が前に出て、真剣な表情でそう切り出した


勘付いた私が

「結斗のことでしょ......」

と威嚇したように呟くと、その生徒は頷いて淡々と喋り出す


「分かっているなら話が早いですね。男子寮Bの寮母であるあなたに、結斗さんへ生徒会に入るように説得を頼みたいのです」



やっぱりそういうことか......


「結斗は入りたくないって言ってたの。本人が嫌がるようなことはしない」



私が拒否すると

生徒会の生徒たちは、あからさまにムッとした表情を見せた