寮の空き部屋にて
景はベッドで毛布にくるまっていた


もうとっくに全員がお風呂に入り終え

真夜中の1時


こんなにも時間が経ったのに
相変わらず大雨は止まない

むしろさらに悪化している


大粒の雨が激しく窓に当たる音にも、もう慣れてきた


「なんか......1人になると怖いな」


寂しさを消したくて呟く

皆はもう寝ただろうか


斎藤先生も、同じ服のまま寝ちゃうって言ってたし


起きてるのは私だけだよね


でも


怖くて電気が消せなかった


あの日


お姉ちゃん

美音が姿を消した日を思い出すからだ


あの日は確か、真っ暗な空に大粒の激しい雨

そして


大きな雷が幾度となく鳴っていた


とてもとても怖かった



あれからお姉ちゃんは姿を消して帰ってこない


最悪のことを、何度考えたことだろう

何度涙したことだろう



お姉ちゃん......元気かどうかだけ


教えてほしい


どうか




景の体は震えていた


寒さにか


怖さにか