「教師を言い訳にしたら、全て終わりです。寮母が教師かどうかなんて、生徒には関係ない」


「そうかもしれないけど......」


「あなたは寮でも教師でいようとする」


景の言葉に、マナは言葉を失った


「皆、不安を抱えながら学校生活を送ってます。だから寮にいるのは、厳しい教師ではなく、温かい寮母でないといけないのに。

あなたこそちゃんとけじめをつけてください!!もっと寮母として責任を感じてください!!」



景は涙を我慢していたのかもしれない

しかし、その涙は輝いて頬を流れた


四人は黙ってそれを見ていた


マナはやっと、ここにいる景は生徒ではなく、寮母だと気づく


自分はこの生徒を見くびりすぎていたのか


だからと言って、もう今更だ



「そうやって、私に寮母を辞めさせようとしているの?」


「ちがいます」


「あなたの不満はちゃんと聞いたから。これから気をつけるわ」


マナが言うと、景は深く頭を下げた



「お願いします......!どうか......男子寮Bの皆が安心して生活できるように。温かいお母さんのような寮母になって下さい。

大雨になりそうなら事前に食事を確保したり、タオルをたくさん用意したり

冷え込みそうな夜には温かいお茶を用意したり

天気の良い日には布団を干したり

悩んでいたら優しく話しかけて、相談に乗って上げて下さい

男子寮Bの皆のために、全力になって下さい。どうかお願いします......!」