「........なら......先生はどうなんですか」


景が、俯いて持ったお皿を見つめたまま
震える声で呟いた


「え?」


「先生は、ちゃんとけじめをつけて寮母をやっていますか......」



ツー............ポタリ



景の頬を伝った涙が

静かに焼きそばに落る


そして、顔を上げ

顔を歪ませながra
訴えた


「先生は、寮母を教師の仕事のついでのように考えてる。だからどこかで言い訳して、寮母の仕事を適当に済ませているんじゃ無いですか!?」


「......景ちゃん......」

「景......」


今まで言えなかったことを吐き出し、必死に訴える景

先生に失礼なことをしている自覚はあった

その上で我慢できず言ったのだ




四人よりも、一番驚いたのはマナだった


「あ.....あ......あなたは私の仕事ぶりを見ていたのかしら?そんな簡単に適当なんて言われて心外だし、悲しいわ」


「今回の大雨の対応からして、貴女は何もしていません」


「大雨になる寸前まで教師として学校にいたんだから。どうしろっていうのよ」


2人の白熱した言い合いに、4人の入る隙など無い


結斗は先程マナが使っていた受話器がまだテーブルに置いてあったことに気づくと、素早く手に取った


「ねぇ皆、女子寮か男子寮の電話番号って何だっけ?」


「確かあのヒト(斎藤)がさっき掛けてたのは内線1番だけど。そこが女子寮だと思う」


「ありがとう」


爽馬の記憶力の良さに感謝しながら、結斗は内線1番を押す



プルルルルル......

《はい、女子寮です》

すぐに女性が出て、結斗は安堵のため息をついた


「スピーカーを繋げて、この声を寮母の皆さんで聞いていただけませんか」


《え?......あ、男子寮Bの子ね?あの子は......景はそちらにいるのかしら?》


切羽詰まった、女性の、母親の声だった


お母さんは女子寮で働いていると
景から聞いたことがある



「景ちゃんのお母さんですね?景ちゃんはいます。大丈夫です」


《よかった。ごめんなさいね》


「いえ、......だから、彼女の声を聞いてください。お願いします」


《え?》


結斗は黙って、受話器から耳を離した