景は笑顔で言った


この言葉は、景の本心だった


教師と寮母をこなし、先生だって疲れていたに違いない


今は焼きそばを食べて、お腹を満たしてもらおうと




しかし、マナの口から出てきた言葉は


恩を仇で返すような言葉ばかりだった


「でもね、笠上さん、たくさんの人に心配がかかることを貴女は分かってないわ」


「え......」


「お母さんの許可は得てないんでしょう?私が親だったらこんな雨の中娘を外には出さないもの」


「それは......先生のおっしゃる通りです」


「でしょう」


テーブルに座って焼きそばを食べかけた四人がこちらを向く


咲夜が耐えかねたように口を開いた


「斎藤先生、その話はまた後です。せっかく景が作ってくれた焼きそばを冷ますんですか」


「生徒には分からないし厳しいと感じるかもしれないけど、私たちはそうやって生徒を守らないといけないのよ」


「だから、その話をまた後でと言ってるでしょう。今はとりあえず、食事を頂こうと言ってるんですが」


爽馬がそっと箸をおいて静かに言う


静かに


怒っていた



「そうです。後で全て謝ります。食べてください」


戸惑ったようにお皿を差し出す景


全て謝る必要なんか無い、と本当は言ってやりたかったが


話を余計厄介にするだけだろうと思い、ライは開きかけた口を閉じ、呟いた


「クソババァ」


マナは正しいことを言っているようで


何も分かっていない


きっと、何も通じない


「食べてください、じゃなくて。ね?笠上さん。貴女はまだ寮母を引きずって責任を感じてるから今回みたいなことになるの

良い加減、けじめをつけて寮母からちゃんと卒業しないとダメよ」



ほら、この通りだ


斎藤マナには、斎藤マナのルールしか通用しないのだから



景は


怒っていた