ココロトタマシイ

いつからだっただろうか。







人の感情が分かるようになったのは……。







多分、物心ついた時からずっと。


きっかけは、小学3年生の時。

『ゆみちゃん、なんでないてるの?』

『え…ないてないよ……?』

『うそ。ないてるよ』

『!!』


顔は泣いていなかった。

泣くどころかニコニコ笑っていて。

特にいつもと変わった様子はなかった。


けど……。


心が、


心が泣いていた…。


“ゆみちゃん”をまとう空気が、何だか重々しくて。

深い青色が見えた。

その子に触れると、その子に重なってに円が見えた。

その円はそれぞれが区切られていて。

一番多いのは、“ゆみちゃん”をまとっている深い青。

その隣に黄色、赤、ピンクの順で並んでいて。

なぜか咄嗟に、黄色が増えればいいと思った。


青はきっと、悲しみ。

黄色は楽しいという気持ち。


そう、思ったから。

今思うと、そんなこと思っちゃいけなかったんだ。

私が余計なこと思ったせいで。

ゆみちゃんは………。





何をしても《楽しい》という感情しかもてなくなってしまった。





普通に遊んで楽しいと思うならいい。

勉強を楽しいと思うならいい。

それだけならよかった。

……けど。

あの子は、人の泣く姿を見るのが楽しいと思うようになってしまった。


友達をいじめたり。

教室でみんなで飼っていたハムスターを殺したり。



……私が小学5年の春にはもう、“ゆみちゃん”の姿はなかった。

噂によると、精神病院に入れられたらしい…。



ごめんなさい。

ごめんなさい。

私のせいで……。



私はその時決めた。

もう、他人の感情を見ても見てみぬフリをしよう、と。