これは、歌いたくない。 …歌えない。 「…愛歌、大丈夫?」 私の手を握って、咲ちゃんがそう言った。 顔を上げると、咲ちゃんが心配そうにこっちを見ていた。 「大丈夫、大丈夫。ごめんね、咲ちゃん。大丈夫だよ。」 自分に言い聞かせるように、そう言った。