奇跡の歌姫【上】





「uta…を知ってらっしゃるんですか? 」



やっと発した言葉は、少し掠れてしまった。



「10年前、ここでの演奏に一目惚れして、それからずっとファン、というのかしら?…ファンなの。
貴方が、10年後のあの少女?」


「…そうです。あの、とても嬉しいです。思い出していただけて、ありがとうございます。」



差し出された手に、自分の手を重ね、強く握った。


この想いが、伝わるように。