一人だと思ってけっこう浮かれてたけど、よりにもよって榎元先生に遭遇するなんて…。


私は、本を開いた。


「ねぇ、桜ちゃんは、そういう物語が好きなの?」


いきなり頭上から聞こえてきた榎元先生の声。


「…?!…どうして名前を…!!」

「あはは、驚いた?
一時間で、クラス全員の名前、俺覚えたんだぁ~。」


先生は、何とも愛嬌のある可愛らしい笑顔で私にそう言った。

一時間で覚えただなんて、それってけっこう凄いかも…。


「桜ちゃんって、けっこう背低いんだねぇ~。」

「…人のコンプレックスを…!!
…そ、それと違って先生は背高いんですね。あと、ちゃっかり名前で呼ばないでください。」

「え~、やだ。もう俺は桜ちゃんって
呼ぶことにしたの。…それとも桜って
呼び捨てにしてほしい?」



何か…可愛い笑顔なのに言うことが…!!
ていうか、何で先生がここにいるわけ?!