「…はっ…離してください…っ!!」

「やだ。…離さない。」


先生は私を後ろから抱き締める。
ぎゅっと抱き締める力を強める先生は、とても温かかった。

…先生は甘く妖艶に囁く。


「…ねぇ…早く、俺の事好きになってよ…」


けど…先生の声は、どこか切なかった。

…好きになって、何て言われても…。

私は、先生が好きなのかもしれない。
先生に…恋をしてるのかもしれない。


だけど…


「…それは、無理、です…。」


私の口からは、否定的な言葉しか出てこない。

…だって…それが本当に好きって感情か分からない。

かもしれないってだけだから。


「…嘘でいい、から、好きって言ってよ…桜ちゃん…。」


…切ない声…。
先生のこんな声は聞きたくない…。

私だって、真剣に考えてる。
けど、分からない…。

好きなのか…違うのか…。