運よく、朝のHRを知らせるチャイムがなって私たちの会話はそこで途切れた。

…ちょっと安心。


「皆ー、席につけよー。」


担任のこの一言で、皆は席に着く。


「何か、新しい教師が来たみたいだ。
皆、けっこう朝から騒いでたみたいだが…特に女子。

…まぁ喜べ、その人が今日からうちの副担を担当する。榎元 日向先生だ。」


担任がそう言ったとき、教室の前のドアが開かれた。

そこから、入ってくるさっきの男の人。

相変わらず女子は騒いでて。

あらら、江梨子まで騒いでる…。



「…今日から副担を担当させていただく、榎元 日向です。
榎元先生でも日向先生でも、まぁ、呼び方は皆さんのご自由に。

…よろしくお願いします。」



そう言って、榎元先生は、子犬スマイルを皆にかましたんだけど…、

先生の視線はなぜか私。


え…。
何か、よくわからない先生だな…。


榎元先生は、私を見てニッコリ微笑んでいる。

いや…別に知り合いじゃないし…。


そうあたふたしていたとき、朝のHRの終わりを告げるチャイムが鳴った。