時は一時間前にさかのぼる。



……―――――



『榎本先生、少し時間良いですか?』



職員室で書類を作成していたら、校長先生に俺は呼ばれた。


はぁ……嫌な予感…。


校長室へ通される。


『少し…嫌な噂を耳にしまして。』


……噂…?


『…榎本先生が女子生徒に手を出した…とかいう…』

『…どういう事ですか…?』

『この学校のある女子生徒と付き合っているとかいう………確か…えーっと、
舞姫さん…でしたっけ?』



あぁ……ヤバイ……。
いつかこうなるって思ってた。


だから、桜には辛い思いをさせる前にこの関係をたちきった方が良いと思ったんだ。


そうすれば、桜は幸せでいられる。


……桑原君なら幸せにできる……そう思ったのに。


俺の心の中は、暗いままだ。
まるで、時が止まってしまったかのように。




『聞いてます?……失礼ながらも実は、調べさせてもらいまして、榎本先生を。


……やはりお付き合いされてるようで。
家に連れ込んだという事もわかっていますよ。』



……隠しても無駄ってことか。
逃げ道はない……そう言いたいんだろ…。


『……榎本先生…これは前代未聞です。
申し訳ありませんが、辞職を。
……舞姫さんは…退学処分です。

二人とも優秀でしたので、期待していたんですけれどもねぇ。』



校長先生は自分の机に腕を置いて言った。






……退学処分…?
桜が……?…退学処分…?


ダメだって…。
それは…何がなんでも止めさせなきゃ…。