日向が苦しそうな顔をする。
「……もう帰りな。」
冷たく日向はいい放った。
けど、そんな言葉とは裏腹に日向の優しい手のひらが私の頭を撫でた。
「舞姫さんの問いに……答えてあげる。」
日向の言葉を聞く前に、私の目からは熱いものが溢れた。
日向が何を言おうとしてるのか……分かるから。
私の望んでる答えを日向はきっと、言ってくれない…。
「…舞姫さんの事は避けてないよ。
けど、もう好きじゃない。
…て言うか、もとから好きじゃない。
遊びだったんだよ。それくらい分かるでしょ?
舞姫さんすぐ騙されちゃうし、本当に単純過ぎて笑える。
……ほら、答えてあげたよ?満足?
そこどいて。」
私の両手は…どんどん壁から離れていく。
私がどくと、日向はそれっきり何も言わず、私の前から去っていった。
「うそ……つき……。」
嘘つき……。
ずっと一緒にいよって言ってくれたじゃん。
「うっ……ひっく……う、そ…つき…。」
嘘つき……。
好きじゃないって言って、遊びだったって言って……
なのに、何で私の頭なでなでしたの…?
何で優しい手のひらで私を撫でたの…?
何で……そんな悲しそうな顔するの…?
「うっ……ひゅっ…がっ……ひっく…」
私の泣き声が、静かな廊下に小さく響いた。
あの楽しかった日々は……
あの楽しかった時間は、
………止まってしまった。