「ごめん……。」




こんな謝りの言葉ですむはずがない。

彼氏…何て名乗れる立場じゃないよね。


「…ごめん…ごめん………。」


謝っても意味がないって分かってるのに、俺の口からは謝罪の言葉が溢れる。


守れなかった悔しさ。
悲しませてしまった悔しさ。



そんな感情が一気に織り交ざって、

………涙へと変わった。




俺の負けだ…。


…この勝負…………桑原君の勝ちだね。







桜たちを見つめながら、俺は心の中で呟いた。


守れなくてごめん…桜。
悲しませてごめん…。
気づけなくて……本当にごめん…。




「彼氏を名乗れるような立場じゃないよね。

きっと……俺よりも桑原君の方が桜を幸せにできる…。」




ふと、視線を右腕にやる。

リーフのブレスレット……。

これ…桜にあげたのって、もう何ヵ月も前だ……。


時が経つのは本当に早いね……。





……このブレスレットをはずす時がくるなんて、俺想像もしてなかったよ。



そっと、ブレスレットをはずす。



「…幸せになってね……桜。」



気づかれないよう、俺はそっとこの場から去った。