「桜っ……はぁ…はぁ…。」
「か、…えで…く、ん……」
驚くめいちゃん。
楓君が来るなんて想像もしてなかったんだろうな。
「……何でっ……何でっ!!!!!!
何でいつも邪魔が入るのよっ!!!!
……憎たらしい……貴女が…貴女が憎たらしいっ……!!!!」
声にならないような叫び声が聞こえたかと思うと、めいちゃんは私の方へ走ってきて……、
やられる……刺される……っ……
そう確信した時。
「…わりぃ、坂咲っ!!!!」
楓君の声とともに、めいちゃんは前に倒れ込んだ。
……一体…何が起きたの…?
めいちゃん…何で倒れてるの…?
「か…えで…くん…?」
「……間に合って良かった…。…大丈夫、コイツ気絶してるだけだから。」
…気絶…。
あの一瞬で…楓君は気を失わせたってこと……?
楓君って一体……。
「俺幼い頃から柔道とかいろいろやってきたから。………役に立って良かった。」
……そうだったんだ…。
安心で、腰が抜ける。
床に座り込んだ私に楓君は駆け寄った。
「……無事で良かった…。」
楓君は安心のため息とともに一言呟いた。
温かく、優しい大きな手のひらが私を包み込む。
「………桜、今からでも遅くねぇから。
こんな辛い思い…俺はぜってぇさせねぇから……。
だから………俺を選べ。」
え…?