「桜ちゃんっ。あのぉ……聞くつもりはなかったんだけど……桜ちゃんってぇ……日向先生と付き合ってるのぉ?」

「?!」


楓君が教室を出てすぐに、私に小声で話しかけてきたのは…………めいちゃんだった。


くりくりな瞳が私を映す。
笑顔で、首を可愛く傾げながら聞くめいちゃん。

……私には分かる…。

今のめいちゃんは心から笑ってない。



あのパソコンメールを思い出す。



「くすっ……聞いてるぅ?
日向せんせぇとぉ……付き合ってるか…。めいの質問に答えて欲しいなぁ~。」



江梨子が驚いてる。

そりゃそうだよね…。
まさか、めいちゃんが聞いてると思わないから…。



「つっ……付き合ってないよ……」



とてもじゃないけど、楓君と江梨子以外に本当の事は言えない。



「ふぅーん……じゃぁ、めい、桜ちゃんの言った事信じるねっ♪



………じゃぁ嘘ついたら…」



一瞬めいちゃんの目が細まった。

矢のように鋭い目つきで、私を射る。
……怖いと思った。




黒板らへんにいた男子たちが、めいちゃんを見て


「可愛い。」

「天使。」

「癒される。」


そんな事を口々に言っていた。


それを聞いためいちゃんは細められた目を可愛く見開いて、可愛く頬をぷくっと膨らませて、


「めい怒っちゃうからねっ♪」


そう可愛く言って、教室から出ていった。

男子たちは、相変わらずめいちゃんを目で追って。







………嘘ついたら……

その続きは……一体何を言おうとしたんだろう…。