「……………桜、おいで。」
日向はいきなりそう言うと私の腕を引っ張った。
日向の胸へとすっぽりおさまる私。
助けて…くれた…?
瞬間日向は、私の後ろを睨む。
日向の冷酷な眼差しは、何も言わなくても相手を静まらせる事ができてしまう。
日向は睨んだだけなのに、痴漢したおじさんは私に深く頭を下げた。
「ごっごめんなさいっ!!!!」
「えっ?!」
回りの人は、「何事だ、何事だ」痴漢したおじさんをじっくりと見る。
「まさか…痴漢じゃない…?」
いろんな人からそんな言葉が飛び交う。
運よく駅に停車したその電車。
騒ぎを聞き付けた駅員さんが、痴漢したおじさんを捕らえ、電車内から引っ張りだした。
電車が動き出すと、まるで何事もなかったかのように、みんな静まり返る。



