***
電車内はとても混雑していた。
電車が揺れる度にそれに伴って私達も揺れる。
背中で互いを支え合う。
だから、多少手が自分の体に触れても全く気にしなかった。
けど、電車に乗って数分。
お尻に何やら違和感を覚えた。
最初は、ただ当たっているだけだと思っていたのに、
抵抗しない私を良いことに、それは次第に意思を持って私のお尻をまさぐり始めた。
嘘……やだ…なにこれ…痴漢?!
初めての事で、どう対処していいのか分からなかった。
声を出そうにも、掠れて何も出ない。
人間って、恐怖すると声が出なくなるって本当だったんだ……。
って、のんきなこと考えてる場合じゃない。
身動きが取れない電車内は奴にとっては絶好のチャンスでしかなかった。
日向……助けて…。
日向の腕をギュッと掴んで訴えるしか方法はなかった。
……お願いだから…気づいて…。



