「俺、正直、桜ちゃんの事一目惚れだった。教室で目があった時にね。

…悪いけど、俺は平等何てことする良い先生じゃないよ。
わがままだしね。…桜ちゃんが好きになってくれたら、俺もう何にもいらない。」



先生は、ぎゅっと抱き締める力を強めた。

恋愛なんて分からない…。
恋愛感情、何て…分からない…。



「桜ちゃん…。」



先生は私の頬に手を添えて、熱っぽい瞳でそう囁いた。

……先生は本当に私が好きなんだろうか?

もしかしたら、遊びかも知れない。
私は、遊ばれてるのかもしれない。

…そうやってマイナス方向に考えちゃうんだ…私の悪い癖…。



「先生、あの…私は…んん!!」



“好きになれるように頑張ります”って
言おうとした私の口を先生は塞いだ。


そこから伝わる、温かい感情。
……これは…何だろう…。



「俺、けっこう愛を込めてるんだけどな。…伝わらない?」



伝わってきたかもしれない。
さっき感じた温かい感情…。
あれは、先生の愛って感情だったのかも…。



「あと、好きになれるように頑張ります。何て言葉は俺は求めてないよ?」

「あ……。」



バレてたんだ…。先生に隠し事は出来ないかも…。



「…俺が求めてるのは“好き”っていう言葉だけ。好きになれるようじゃなくて、好きじゃなきゃダメ。分かった?」



…なぜか私は、知らない間に首を縦にふっていた。


「よし。良い子。」


先生は、そう言って私の頭をポムポム撫でた。

……ほてり出す顔。速くなる鼓動。

何なんだろう…このほわほわした気持ち。

……初めてだ…。
こんな気持ち…私は知らない。分からない。