日向は、テラスから出ていった。
瞬間、さっきの女の子が泣き出す。
「どっ…しよ…、せんせっ…にっ…嫌われちゃっ…た…っ…ひっく…」
静まりかえるテラスに響く女の子の泣き声。
まわりの女子はその女の子の背中を優しくさする。
「ていうか、あんたが来なければ、先生が機嫌をそこねることはなかったんだけど!!」
「どうしてくれんの?」
「ただで済むとでも思ってんの?!」
「調子乗ってると痛い目みるよ?!」
「ほんとうざ。……消えて?」
泣く女の子を慰めながら、私に怒鳴る女子たち。
…私が悪者…?
ていうか、私何もやってなくない?
原因はどう考えてもその女の子でしょ…。
終いには…消えてって……。
…何でそこまで言われなきゃならないの…?
すると、江梨子が口を開いた。
「ほんと我慢の限界…。
あんたらマジ何なの?うざい?消えて?
それ、こっちのセリフなんだけど。
榎本先生怒らせたのはあの女子じゃん?
それを桜が悪いだの何だの怒鳴ってさ。
悪いのはその女子なんだからさ。
てか、その泣いてるあんた!!!!
榎本先生怒らせたのはあんただよ?!
それを泣いて、嫌われちゃったとかっ。
それ言ってる暇あんなら、桜に謝って、自分の悪いとこ改善すれば?
そう言う被害者面する人うち大っ嫌い。」
江梨子って口喧嘩になると止まらなく人だし。
口喧嘩で泣かせない女子はいないから…。
これじゃぁ、逆効果だよ…!!
「え、江梨子っ。言い過ぎだよ…!!!!
ほらっ、行くよ…!!!!
…ごめんなさい。私が悪かったんだよね。ほんとごめんなさい。」
私は謝りながら、お弁当を片手に江梨子を引っ張ってテラスを出た。
出ていく際に聞こえた
「被害者面してんのはそっちじゃん!!!!」
って言葉には反応せず何事もなかったかのように私たちは教室へ戻った。