「まぁ、お前も可哀想な奴だよな。好きな女が毎日のように部屋に来るのに、ちょっかいを出さない!なんて」
「俺はそんなケダモノじゃねーし」
「大事にしてんだな、花音ちゃんのこと」
好きだから。あの笑顔を壊したくないから。
「当たり前だろ」
幼なじみって繋がりがあるだけで、安心する俺がいる。だけど、幼なじみだからこそ、それ以上に進めない焦りがあるのも事実だ。
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「陽ー!」
1日に何度、この声に呼ばれるだろう。
放課後、テツと帰っていると背後から花音の声がした。振り返ると、ゆきちゃんといる花音の姿が目に入った。
「今からゆきちゃんとドーナツ食べに行くんだけど、陽達も行くー?」
ったく、大きな声でのお誘いどうも。周りにいる学校の奴らがクスクス笑いながら俺達を見る。
「陽、花音ちゃん達と行くか?」
隣にいたテツがニヤニヤしながら俺に聞く。だけどな、花音。お前気づいてねーけど、お前らの少し後ろに横田の姿が見えてんだよ。


