「陽(はる)ー!」


階段を駆け上がる音と共に、アイツの大声が聞こえる。学校から帰宅したままの制服姿の俺は、ベッドでのんびり雑誌を見ている最中だった。


バンッ!


「陽!私、告白されちゃったっ」


俺の部屋を開けるなりそう言ったコイツ、花音(かのん)は、隣の家に住む小さい頃からの腐れ縁のいわゆ……


「ちょっと、陽!聞いてるー?」


いわゆる、幼なじみってやつ。


「聞ーてる。よかったじゃん、告白」


「もうビックリしちゃった!告白されるのって、あんなにドキドキするんだねー」


いつものごとく部屋に入り、母さんが無理やり置いているカエルのクッションを、ギューっと抱きしめながらジタバタする花音。


いつもの花音の顔。だけど、ほんのり赤く染まっていて、少しだけいつもの花音と違う表情に見える。


「で、そいつと付き合うの?」


ベッドに預けていた体を起こし、ベッドに腰掛けた状態で花音に尋ねる。