「……か、香山先輩も好きな人いんの?」
「おい、タメ口?調子のってんなよ」
「あーはいはい、すみません!失礼しました!」
ダメだ。今のはあたしが悪いけど、この人と話してるとムカつくことばっかり。
目黒くんの好きな人の件もあって、気分が落ちてるのに……もう。
「俺、好きな奴いるよ」
「へーそうなんですか」
「自分から聞いといてその返事かよ。興味無さそうだな」
「だって興味ないですもん」
お前なー、と少しだけ頭を小突かれた。香山先輩はあたしより少しだけ背が高いみたいだ。
「フラれたけどな」
「そりゃ残念ですねー」
「あ、俺の好きな奴、アイツ」
そう言いながら香山先輩が前方にいる、ストレートでセミロングの女の先輩をさす。
「ほー。可愛らしい人ですね」
「だろ?」
「だろ?って、フラれたんでしょ?」
「おいおい、そこはつっこむなよ」
フラれたのに嬉しそうにしちゃって。
「じゃ、あたし急いでるんで帰ります」
「どーせ予定ないくせにー」
「っさい!さよーなら!」
香山先輩に言葉を吐き捨てて、大股で歩き始めたあたし。香山先輩の好きな人の隣だって自然と追い越しちゃう。
……追い越しちゃう時に、女の先輩からいい匂いがした。
こりゃ、香山先輩も落ちるな。なんて思いながら、あたしは家路へ向かった。


