“その好きなひとを大切にしてね” あなたが 息を呑んだ “わかったよ” しばらくして あなたは言った “大切にする” その言葉に 微笑んだ “短い間だったけどありがとう” わたしが微笑むと あなたもつられて微笑んだ “ねぇ、もう行っていいよ” 鼻のおくが ツンとして 慌てて言った 涙なんて 見せたくない 最後くらい カッコつけさせて 素直になれない私の これが最後の抵抗だから “あのひとが待ってるんでしょう?”