「理由は簡単だろ…」
黙って耳を傾ける俺。
「由季は、まだお前に遠慮してんだよ…」
「遠慮…」
遠慮…して、たのか。
「由季はまだ、俺の事をはっきりと忘れてはいない。反応でわかるだろ…」
確かに……村道と顔を会わせると、悲しい顔をする。何かに縋りたそうに。
「由季は、まだ迷ってる。俺にはお前らのこの先が大体予想つくよ…」
村道はひときしり話すと椅子から立ち上がる。
「由季の気持ちを考えろ……無理なら俺が由季を貰う」
そして、由季の部屋を出ようとした所でまた止まる。
「決断を出せ…」
最後にこう言いドアの閉まる音が聞こえた。


