気づけばキミと恋に落ちて

まぁ、今日一日くらいイイよね。


なんて思ってると「はるちゃん」と、声をかけられ「はい?」と、振り返る。


わたしを呼んだのは、宗ちゃんではなく、わたしたちの空気を壊してくれた、やっさんだった。


やっさんは、安本(やすもと)さんといって、わたしの二つ上で三十三才。


何年も付き合ってた彼女に振られたとかで、最近までずっと落ち込んでいた。


「あのさぁ、今日の夜って空いてる?」
「へっ⁉︎」


やっさんとは年も近いから、話も合って今までもイロイロ話してきたけど、こんな風にお誘いを受けるのは初めてで少しビックリした。


「あ。勘違いすんなよ?〝はるちゃんが好きで〟とかじゃないから‼︎」
「う、うん」


きっとわたしが、一瞬身構えたのが、やっさんに伝わったんだと思う。


急に慌てたそぶりで否定した。そして一枚、券のようなモノを、わたしに見せてきた。