気づけばキミと恋に落ちて

陽ちゃんは笑顔だったのをやめると、真剣にわたしを見た。


「……その人ね、いつもわたしより先に乗ってるの。だから降りるのは、わたしより後のハズなのに〝オレもこの駅だ〟って言ってね」
「コッチにも家っつーか、ダチん家でもあったんじゃないの?」
「わたしも、そう思ったよ。その人、すごくタラシっぽかったし、オンナの人の家でもあるのかな、って。でもカーテン閉める時に見ちゃったの。駅方向に戻る姿を…」
「へぇ〜。で、〝キュン〟ときたわけ」


陽ちゃんは明らかに〝つまんねぇ〜〟って顔をしていた。


確かにそれだけでキュンとくるのは、おかしいのかもしれない。


でも、わたしにしたらオオゴトなのっ。


そんなこと今までの人生の中で、なかったんだから。


「まぁ、キュンとくるのはイイとしてだ」
「ん?」


陽ちゃんの目がギロリと、わたしを睨んだ。


な、なにっ。怖いんだけど‼︎


「〝タラシ〟ってなんだよ」
「あぁ…」