気づけばキミと恋に落ちて

って言いながら、笑ってるんですけどっ。


ちっとも傷付いてないくせに。


「ほら、送ってく。行くぞ」
「へっ⁉︎」


笑ってた顔がスッと真顔に戻ると、オトコの手がまたわたしの腰に回され、強引に歩き出した。


「ちょ、あのっ‼︎」
「家、どっち」
「や、だから…」
「早くしろよ。オレ明日も仕事なの。遅刻したら、お前のせい」


いや、だったら尚更この駅で降りないほうが良かったんじゃ…。


でも口がワルイだけで、意外と優しいのかな。


どうせもう会うこともなさそうだし(わたしは見かけるけど)送ってもらおうかな…。


「……コッチです」


家の方向を指差すと「ん」とだけ返事をして、歩き出した。