わたしの中の彼は、〝ねぇ、大丈夫かな?〟だと思ってたんだけど。


「なに、オレに惚れた?」
「えっ、えぇっ⁉︎」


チガウ、ゼッタイにチガウ‼︎


わたしの妄想彼は、こんな俺様なんかじゃない。


もっと優しい人だもん。……やっぱりわたし、恋はいいや。


「立てねぇの?」
「い、いえ。大丈夫です…」
「じゃあなに。好きで座ってんだ?」
「べ、べつにそういうわけじゃ…」


やっぱり、この人苦手だ。顔はタイプなのになぁ。


なんて残念な性格なんだろう。


「ふーん」


オトコは興味なさげに、そう言うと、いなくなるのかと思いきや、それどころかわたしのトナリにピタリとくっ付いて座ってきた。