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ブブっ、とわたしのスマホが鳴り見ると、陽ちゃんからの着信で。


「電話…。弟からの、出てもいい?」


そう聞くと「あぁ」と、一言。スマホを操作して、耳にあてると、少し大きな声の陽ちゃんが…。


「はるっ⁉︎今、どこにいんだよ‼︎」
「あ、ごめん。ちょっと、旅行に…」
「はぁ?旅行?仕事は⁉︎」
「えっと、有給取って……」
「有給⁉︎オレ、すげぇ心配したんだけど‼︎昨日の夜も電話したのに、出ねぇし」
「あ……」


昨日の夜は、その……。思い出すと、ボッ、と熱くなる身体。


拓篤の声、顔、イロイロなことが思い出される。


「はる⁉︎聞いてんの?」
「あ、うん、ごめんっ。あの、昨日の夜は、疲れて、寝ちゃってた、っていうか……」


そう言うとトナリで〝ぶっ〟と、拓篤が吹き出す。


スマホを耳にあてながら、睨みつけるも、拓篤は前を向いて運転中…。


「ったく。で、いつ帰ってくんだよ」
「あ、うん。今、帰ってるとこ…」
「バス、か?じゃあ、バス停で待っててやるよ」