「おはよう」


目が覚めると、目を細めて微笑む拓篤がトナリにいて、三十一にして、はじめて〝幸せ〟だと感じる。


ホントはもう一泊する予定だったんだけど、例の件で疲れてしまってたこともあり、旅館の方に言ってキャンセルをしてもらった。


今は拓篤が運転する車で、帰宅中。


身体のことを気にしてくれたり、昨日の夜から〝オレ様拓篤〟が、どこにもいない。


それはそれで新鮮で、だけどちょっと、くすぐったい。


でも家に着く、ほんの少し前に〝オレ様〟が降臨する。