「気づけば、陽美のことばかり考えるようになってさ。だからあの時、ホントはすげぇ嬉しかったのに、学生時代のことが引っかかってて、すぐに返事ができなかったんだ…」
「……そっか」
「でも、眞介…あー、陽美も会っただろ?あの一軒家で会ったオトコ」
「あ、うん」
「眞介に喝入れられて、あの後すぐに陽美ん家行ったんだ」
「えっ⁉︎」


相当驚いたのか、オレの腕の中でグリン、と勢いよく振り返った。


今度は顔の距離も陽美なりに考えたのか、さっきより離れてる。


「でも、オトコ…いたから」
「へ?」


陽美は、わからないとでも言うように眉を寄せた。


「楽しそうにして、家に入れてたじゃねぇかよ」
「……あ」


オレの言ったことに、思い出したのか小さく声を出すと、今度は深く溜め息を吐いた。


「……あれ、弟」
「は?」


今度は、オレが眉を寄せる。弟って…いや、弟って‼︎


「……信じられない?」
「あ…いや、信じる…」