その声に引き寄せられ、少しずつドアへと近付く。


「陽美」


拓篤が名前を呼んでくれるから、大丈夫…。


少しずつ歩いてきたその足は、ドアの前までとやってきた。


「……拓篤」
「うん。ドアの前まで来れたか?」
「……うん」
「じゃあ、電話切るな」
「え…」


プツンと切れた電話。全然、意味がわからない。


今のわたしの状況を知らないから、仕方ないのかもしれないけど、拓篤の行動に悲しくなってきて涙が溢れる。


最近、涙腺が弱いのか、ちょっとしたことで泣けてくる。


ダメだな、わたし…。


「陽美、聞こえるか?」