気づけばキミと恋に落ちて

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宗ちゃんがみんなに弁解している姿が妙に可愛くて、後ろでニヤつきながら見ていた。


「はぁ…。さ、はるちゃん行こうか」
「あっ、はい」
「こら、なに笑ってんだよ」
「いえ、特に理由は…っ」


ため息をはいた宗ちゃんは、見るからにゲッソリしていて、〝自然に〟と思っていたのに、やっぱりおかしくて、つい吹き出してしまった。


少し不貞腐れた宗ちゃんの三歩後ろを歩いて、会社を出る。


宗ちゃんが運転する車に、当たり前のように助手席に乗って、目的地へと向かった。


「はるちゃん、お昼トンカツ食べようか」
「わっ‼︎いいですね、行きましょうか」


宗ちゃんに付いて行った場所は、お得意様のところで、用事は15分ほどで終わってしまった。


やっぱり、わたしは必要ない。でも、こうやって連れ出してくれるのは、別にイヤじゃない。


相手が宗ちゃんだから、なのかなぁ…?


「まだ、かなり時間早いから、ちょっとドライブして行こうか」
「ドライブって…。仕事中ですよ?」
「じゃあ、〝遠回り〟して行こうか」
「……うーん、遠回りなら…。でも、なんだかみんなに悪いですね…」