気づけばキミと恋に落ちて

とりあえず、今日一日だけ。この先、会うかどうかも、わからないんだし。


「あと。敬語もナシな?オレ、他人行儀キライ」
「………」


〝他人〟じゃん。どう考えたって、他人なのに。


「だんまりかよ。…まあ、いいか。ほら、着いたぞ」
「え、ここ…?」


拓篤の足が止まり、わたしも同じく止まる。


そして着いた場所を見て、まばたきを何度もした。


「あ。陽美、牛苦手だったか?悪りィ、好き嫌い聞いてなかったな。店、変えるか?」


わたしの反応に、歩き出そうとした拓篤を咄嗟に止めた。


「いや、そうじゃなくて…。だって、ここ…」


拓篤が連れてきた場所は、高級レストランでも、なんでもなくて、ただの牛丼屋さんだった。