「じゃあ、しなくていいんじゃない?」
「え」
「〝その気〟ないんでしょ?なら、もう答えは出てるじゃない。ハイ、この話しは終わり」


両手をパンと合わせて、終わりの合図をした留里ちゃんに、わたしはなんだか納得できなくて、目線を下に向けて明らかに不機嫌になっていた。


「なんなら、そのもらった名刺。わたしが今ビリビリに破いてあげようか?」
「えっ⁉︎」


思いがけない言葉に驚き、バッと顔を上げるとニヤリと笑ったワルイ顔の留里ちゃんと目が合った。


「なによ。思い切り気になってるんじゃない」
「そんなことっ、」
「じゃあ、破く?」
「う…」


そう言われると、差し出せない自分がいる…。


ってことは、わたし気付いてないだけでホントは、気になってるってこと…?


あんなオレ様のタラシを…?いや、ないないないないっ‼︎


なら、あんな名刺……。


「はるるん、そんな気にしなくていいんじゃない?考えすぎだと思うけど」
「考え、すぎ…?」
「一度自分の思った通りに行動してみなよ。例えそれが間違いだったとしても、誰もなにも言わないわよ?」
「……うん」