それだけ言うと、拓篤はわたしを離した。


それは、わずか数秒のこと。なのに、身体が熱い。


そんな自分を知られたくなくて、わたしはその場から逃げ出した。


「あ、はるちゃん。って、どうした?顔、赤いけど」
「えっ⁉︎そ、そんなことないよ‼︎気のせいだよ、気のせい‼︎」


外に出ると、やっさんがわたしの顔を見て首を傾げた。


自分でも熱いとは思ってたけど、ホントに顔まで赤くなってたなんて…。


頬に手を当てながら、必死に否定した。


「そうかー?どう見ても、気のせいじゃないと思うんだけど。ま、いいや。どっかテキトーにメシ食って帰るか」
「う、うん」


やっさんには言えない。拓篤に、あんなことされて言われたなんて……。


その後、わたしたちは近くにあったラーメン屋さんで夕飯を済ませると、お互い帰宅した。