「えっとー、じゃあ。はるちゃん、行くか?」
「あ、うん」


やっさんが拓篤に頭を下げ、出口へと向かう。


わたしもその後ろを付いて行こうとした時「おい」と、呼び止められた。


「なんですか」


目だけ拓篤に向けると、長い腕が伸びてきてグイッとわたしを引っ張った。


「ちょっ、なんですか⁉︎急にっ」


カウンター越しのくせに、拓篤がものすごく近い。


だって、わたしの身体の半分がカウンターに乗っかっていて、拓篤もカウンターに肘を付いて前のめりになってるから。


「連絡、待ってんぞ」
「……っ‼︎」


耳元で囁くように言われ、思わず言葉に詰まった。