気づけばキミと恋に落ちて

「えぇ、結構長めに唸ってたよ。ね、和歌ちゃん?」
「うんうん、ここ最近一番の長い唸りでしたよね」


ここ最近一番の唸りって…。わたし、いつも唸ってるみたいじゃない⁉︎


「いや、特にコレと言ったことはないんですけど。不倫する人って、どういう気持ちなのかなって…」
「は?はるるん、もしかして宗ちゃんと不倫…んぐっ‼︎」


あーっ、わたしの言い方も悪かったのかもしれないけど、留里ちゃんの、この無神経ちゃん‼︎


慌てて、留里ちゃんの口を塞いだけど時すでに遅しで…。


「オレは、不倫なんかしねぇぞー」


なんて、声が聞こえてきた。


「もうっ‼︎留里ちゃん⁉︎」
「ごめんごめん‼︎だって、はるるんが〝不倫〟なんて言うから、想像しちゃったんだもん」


軽くウィンクをして、ごまかす留里ちゃんは、わたしの五つ上で三十六歳。


見た目はキレイなお姉さんなんだけど、たまにこうやってなにも考えず発言しちゃうことがあるから〝結婚できないんだ〟と、男性社員はみんな口を揃えて言う。