最初で最後…私の愛した人

時は流れ私は退院することなく秋を迎えた



病室から見える紅葉の葉が紅葉で赤く染まり始めていた



今日の私の体はあり得ないほど穏やかだ



きっとそろそろ迎えが来るのだろう



ガラッ



突然病室のドアが開いた


いつも穏やかな彼らしくない珍しい開け方



「…どうしたの?」



「夢を見たんだ…」


「夢?」


「貴方が居なくなる夢を…」



そう言って私のベッドのそばの椅子に座り私のしわしわの手を取りぎゅっと握りしめた



「…それはきっと正夢ね…」


「えっ…」



「もう、お迎えが来るのよ」



「そんなこと言わないでよ!」



声を荒げる彼に私はゆっくりと目を閉じた



「私は幸せだったわ
貴方が居てくれたから私は楽しい最後を迎えられそうよ

お互いに看取ることができたらどんなにいいだろうね

けどそれは出来ないから…お願い
私が死んだら別の人と一緒になってね
あなたはまだまだ長い人生が待ってるから

私は大丈夫よ
たまに思い出してお線香でもあげてくれたら嬉しいわ…

こんなに幸せなのにそれ以上を願ってしまってはバチが当たってしまうわね」



「…なんで…そんなこと言うの?
まだ一緒にやりたいことが残ってるのに…」



「私にはもう出来ないわ」




そして私の意識は途切れた



もう一度だけ死ぬ前に目を覚ませんかしら



もう一度彼の顔をみたい