のどを鳴らす猫をなでながら、愛おしげに目を細めて班長は続ける。
「ロティは庶務ロボットで、接客も担当してるからいつも誰にでもにこにこしてるんだが、無愛想なオレに対してもそれが変わらないんだ。朝のお茶を断っても現場から戻ったらまたお茶を差し出す。記憶力がないのか、プログラムに忠実なだけなのか、次第に首をひねりたくなってきた。その時も断られると予想していたんだろう。オレがお茶を受け取ったら、一瞬固まった。そして次の瞬間、いつもの笑顔より一層嬉しそうに笑ったんだ。あの時、バージュモデルに感情があるってのは本当なんだと納得した」
「かなり歩み寄ったじゃないか」
感心したように微笑む友人を、班長はいつもの不愉快そうな表情で睨んだ。
「職場の仲間を拒絶し続けるわけにもいかないだろう。嫌いなことには変わりない」
「はいはい」
軽く受け流す友人は、班長の意地っ張りな性格をすっかり把握しているようだ。
結構長いつき合いなんだろうな。あのトラウマ事件も知ってるみたいだし。
ひとしきり子猫の頭をなでて満足したのか、班長は友人と子猫に別れを告げた。
「ダレム、明日迎えに来るから、いい子にしてるんだぞ」
子猫は前足で班長の手首に抱きつきながら、手のひらをペロペロと舐める。
嬉しそうに目を細めて「こらこら」と言いながら、班長はもう一度子猫をなでて手を退いた。
毎日顔を見なければ心配になるほどかわいがっているのに、やっぱり置いて帰るのか。
でもこれ、ダレムに隠す必要ないんじゃ? いや、むしろ知らせるべきだと思う。
そう思ったオレは、友人に軽く手を挙げてこちらを向いた班長の前に飛び出していた。
「ちょっと、シーナ! こっそり見守るだけじゃなかったの?」
モニタリングしていたリズが、慌ててオレを制する。命令される前に班長に声をかけた。
「班長、こんにちは」



