国家警察局特務捜査二課は本日も平和そのもの。制服に着替えていつでも出動できるように待ちかまえているものの、指令はない。
今日はフル充電の上に朝食で補助バッテリも満杯なのに。部屋の隅ではムートンが飽きもせず立体パズルを組み立てていた。オレもその隣に座っている。ここがロボットたちの定位置なのだ。
オレはこのヒマを利用して、内蔵メモリにコピーした、リズの大叔母さんの膨大な日記データを閲覧することにする。
なにしろ九十年分だから、リズも知らないようなことが何か書かれているかもしれない。その中にバージュモデル人格形成プログラムのソースコードに関する何かが隠されていればラッキーってとこか。
カードにロックはかかっていたものの、オレのオリジナル設計図のように厳重に隠してはなかったしな。
あまり過度の期待をせずに、オレはのんびりとファイルを古い順に開いていった。
日記はリズの大叔母さん、フェティ=クリネが科学技術局に入局した日から始まっている。当時のフェティは二十歳。今のリズよりちょっとだけ若い。
初めの頃はなにもかもが珍しくあらゆることにわくわくどきどきしている新人フェティの初々しい日常が綴られていた。
そんな新人時代にフェティは局内で生活している小さな少年に出会う。少年は科学技術局内で違法な研究結果として生まれた実験体だった。この少年が後にロボット工学の第一人者となったランシュ=バージュ博士だ。
え、やけにあっさりと科学技術局のトップシークレットになってたバージュ博士出生の秘密を知ってしまったよ。



